HIS DIVINE GRACE / Reverse Aleph

フランスのディプレッシヴ・アンビエント・ゴシックの’01年作。

1曲1時間の大作。リズムらしいリズムは全くないドローン系であるものの、その上をたゆたう耽美で神聖な雰囲気のメロディが微妙に変化しながら進んでいくアンビエント・ゴシック。しかし、その陰鬱さ、暗さ、絶望感は圧倒的で、目覚めさせてはいけない隠しボス的な邪神が降臨してしまい、完全に世界が崩壊してしまった後のような絶望的な雰囲気を強烈に感じさせるサウンド。光が一切差し込まない壮絶な暗さです。

最後に軽くギターが挿入されるものの、他はノイズ成分もヘヴィさも全くない物静かなインスト。寝る時にでも聴きたかなとも思うけど、この暗さは気分によっては相当精神を摩耗させられそう。ディプレッシヴ色も強い作品です。このクラスの作品にはなかなか出会えないと言っていいレベルの絶望音楽の大名盤。

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HEDON CRIES / Affliction’S Fiction

ギリシャのゴシック・メタル・バンドの’07年2nd。

儚く耽美で悲しいキーボード・オーケストレーション、泣き要素の強いギター、スロー/ミドル・テンポ中心のリズムの上を絶望感の強いガテラル・ヴォーカルが乗っかるゴシック・メタル・サウンド。すでにモダンでメランコリックな歌メロ重視のゴシック・サウンド台頭している時期ですが、このバンドのサウンドは’90年代ゴシック・メタル直系で実に耽美で今作も1stと変わらぬ路線であるばかりかさらに深化しています。

力無くアンニュイな低音クリーン歌唱に、泣きまくりのギターが出だしから炸裂するTr.1からそのインパクトは大。静の前半から慟哭の動の後半の展開も強烈。基本はスローなサウンドですが、Tr.2のように爆走ブラスト・パートを配した展開の曲、Tr.3のように高速スネア裏打ち爆走のメロデス的パートを軸にしたゴシック/メロデス的な曲も静のパートの慟哭ぶりが際立っていて聴きどころ。インスト主体のTr.5も実に耽美。

前作との違いは、疾走もしくはアップ・テンポなパートがかなり増えているということ。ほとんどの曲にスロー・パートと疾走パートの切り替わりがあって、静と動の対比が設けられているのが大きな特徴です。そのため、ゴシック・メタルと言ってよかった前作と比較すると、ゴシック・メロデスといったサウンドにシフトしていると言えます。

ただ、前作から変わらない泣き要素の強いギターに儚げなキーボード・オーケストレーションといった要素は一切変わっていないので、よほどブラスト爆走とかが嫌いでなければ前作が好きな方には是非とも今作も聴いてみてほしいです。慟哭のゴシック・メタル・サウンドに、アグレッシヴな泣きのメロデス要素が加わった今作…やはりその衝撃度は大きいです。

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HALO OF FLYS / Bloodier Shade Of Red

USのゴシック・メタル・バンドの’12年2nd。

なんだかグラインドコアっぽいジャケットなので、とてもゴシック・メタルとは信じられませんが、実際に聴いてみると、アンニュイなヴォーカルに悲しげなキーボード・オーケストレーションによるスローなサウンドで、それはまさにゴシック・メタルなのです。ヴォーカルの沈み込むような感じや、アトモスフェリックなバッキングがあるので、ディプレッシヴ・ゴシックとか、アトモスフェリック・ゴシックとかいった感じです。

サウンド・プロダクションが故意に薄っぺらくされている印象もあり、それが独特なモヤモヤ感とうさん臭さを生んでいるのもポイント。特にキャッチーなフレーズとモヤモヤしたサウンドがうさん臭さ全開のTr.6は面白いです。チェロ入りのTr.2、ドロドロしたリフのTr.3、ほんのりフォーキッシュなTr.4、荘厳で特にゴシカルなTr.5などなど各曲ごとに個性があるのも魅力的。ちょっと変なゴシック・サウンドをお求めの方にオススメ。

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GAIAS PENDULUM / Scarlet Visions

コロンビアのメランコリック・ゴシック・メタル・バンドの’04年2nd。ツイン・ギター、キーボード入りの5人組。

激渋な低音歌唱とガテラル・ヴォーカルを駆使する男性ヴォーカル、中音域でうねるギターのメロディ、ピアノ系メインの儚げなキーボードの単音のバッキング、悲しいメロディの泣きのギター・ソロによる分かりやすいメランコリックなゴシック・メタル。曲の尺はコンパクトで、3~5分のものが並んでいます。アルバム全体の雰囲気の統一感も素晴らしく、構成も分かりやすく聴きやすい作品。ヴォーカルの性質上少々暑苦しい雰囲気もありますが、そこに抵抗が無ければメランコリック・サウンドが好きな方にはとてもオススメな1枚。

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FUNERAL REVOLT / The Perfect Sin

ギリシャのインダストリアル・メランコリック・メタル・バンドの’05年1st。

活動自体は’89年からしているらしいものの、1stフルのリリースが’05年というなかなかの苦労人(?)バンド。ベテランらしい安定感あるサウンドと、クリアで厚みのある音質の良質な仕上がりですが、サウンド自体は古臭くなく、へヴィで機械的なリフとリズムにインダストリアル/エレクトロ・サウンドを交えたモダンなサウンド。

Tr.3のように金属音をうまくメロディアスに組み立てているパートや、掠れたグロウルが主体でありつつも所々メランコリックなメロディを感じさせる叫びを聴かせるヴォーカルもGood。Tr.3等はインダストリアル・メランコリック・メタルといった趣です。メランコリック・メタルにインダストリアル・サウンドを大々的に絡めたようなものが聴きたい方にオススメ。上記の通りヴォーカルは基本デス声なのでそこだけ注意です。

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EVEREVE / Regret

前任ヴォーカルTom Sedotschenkoが’99年に死去。新たに(Vo)Ben Richterを迎えて制作された作品。

前作はそのTomのグロウルと朗唱を使い分けるヴォーカルが印象的な、デス・メタル色のあるゴシック・メタルでしたが、今作はヴォーカルはイカつめのノーマル声歌唱のみでデス声無しのスタイル。演奏の方は相変わらずドイツというよりは北欧的な冷たさを運んでくるキーボードが印象的で、このキーボードが派手なプレイで目立つ場面も。ギターに関しては前作よりもシンプルになった印象で、刻みリフがメインで場面によってはクサみのあるギター・ソロを披露してくれます。

相変わらず悲哀に満ち溢れた美しいサウンドですが、後によりストレートなメランコリック・メタル的な路線になるその予兆が感じられる作風。今作はまだ凝ったところもあるものの、前作と比較するとストレートな印象です。メランコリック・メタル好きにオススメ。

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AKIN / The Way Things End

フランスの女性Voプログレ/ゴシック・バンド、’03年のForecast以来の作品リリース、フル・アルバムとしては’01年のVerse以来、実に10年ぶりとなる’11年の2ndフル・アルバム。

Adeline Gurtner嬢の可憐でいて安定感も抜群な(Vo)がまず素晴らしい。展開も相変わらず凝っており、リズムの切り替わりもあって聴き応え充分。さらに(G)Matthieu Bakerによる流麗かつメロディアスなセンス抜群のギターがまた素晴らしいんだコレが!リフにソロに大活躍。ゴシック系でこのプレイはなかなか聴けません。そこに絡んでくるストリングスに、メンバーによるフルートの美メロ!ここまでやられたら何も言えません。このメランコリックな美メロの嵐に屈服するのみ。

プログレ風味があるとはいっても、OPETHのような重苦しさはなく、もっと気楽にリラックスして聴けるのもこのバンドのポイントの一つ。ストリングスもフルートも、フォーキッシュとかクラシカルといったものに走らず、「単に美メロ」って感じなのがまたいいんです(伝わるのかコレ?)。復活作にして傑作!

AKIN / Forecast

フランスのプログレッシヴ・ゴシック・メタル・バンドの’03年EP。

可憐で美麗なソプラノ女性ヴォーカルに、バッキングからソロまで多彩でセンスあるフレーズを聴かせるギター、捻りのある展開とリズムが聴きどころのバンドです。Tr.1「The 92nd Flight」、Tr.2「Cassandra」の2曲は2ndフルに再収録されますが、Tr.3「The City in the Sea」はこのEPのみ収録の曲で、AKINらしいスリリングな展開のある曲。割と攻撃的な場面もあり、邪悪さのあるトレモロ・リフが聴きどころでファンであれば必聴の名曲。Tr.4はMOONSPELLの「Opium」のカヴァー、Tr.5は1stの「Dreamland」のアコースティック・ヴァージョン、Tr.6は1stの「To One in Paradise」の別ヴァージョン。

AFTER FOREVER / Prison Of Desire

オランダのゴシック・メタル・バンドの’00年1st!

コレはなかなか意外なサウンドでしたね~。普通に聴きやすい女性ヴォーカル・シンフォニック・ゴシック的なものを想像していたのですが、デス・メタル要素も結構強めで男性ガテラル・ヴォーカル入りのゴシック・メタルでした。言ってみれば、アネク嬢が入った後のTHE GATHERINGと、入る前のTHE GATHERING、それからPARADISE LOST辺りからの影響を混ぜたようなサウンドです。

メロディックでありつつ、引き摺るような低音メロディーのギターはPARADISE LOSTを思わせますし、ソプラノ・ヴォーカルによる妖艶かつ優美なパートと、高速疾走&邪悪で不穏なリフを交えたデス/ブラック・メタル的パートが切り替わる展開などはTHE GATHERINGの初期を思わせるものがあります。

AFTER FOREVERすらデビュー時にデス・メタル色が半分くらいあるサウンドだったことを考えると、やはり2003年にデビューすることになるEVENESCENCEの影響っていうのは、女性ヴォーカルものへの影響が絶大だったんだなぁと後追いながらに実感します。個人的にはやっぱりEVANESCENCEデビュー前のこういったデス色が感じられるゴシック・メタルの方が好きですがw というより「コレこそがゴシック・メタルでしょう」といった感じ。

この作品も美と醜の対比とでもいうべき落差が実に強烈で、女性ヴォーカルの美麗なパートにしても、デス・メタル・パートにしても本格的なカッコよさがあります。展開も多めでプログレッシヴ・メタル好きにもオススメしたいサウンド。かなり楽しめます。Tr.4の、途中でいきなり異国に突入したかのようなメロディーに展開し、その後爆走しだすという展開や、Tr.5のようなアラビックなメロディーを前面に押し出したゴシック・メタルというのも面白いです。Tr.10はイントロがかなりフューネラルな雰囲気ですし、そういった要素も交えた多彩なゴシック・サウンドは実に聴き応え十分。

デス・メタル色や、展開のあるゴシック・メタルが好きな方にはオススメですが、女性ヴォーカル一本のひたすらに美麗なものを求める方にはオススメできないタイトルです。いや、そもそも私は後者を想像していたのですが、コレは嬉しい誤算でしたw

DAYLIGHT DIES / No Reply

USゴシック・メタルの’01年1st。

PARADISE LOST的な中音域のドロっとした質感のメランコリックなリフをメインに、優れた曲構成力と、演奏力で聴かせるサウンド。ヴォーカルはディプレッシヴ・ブラックにも通じるような悲壮感の強いグロウルをするタイプ。どの曲もちょっとした展開を持っており、泣きのギター・ソロが出てきたり、クリーン・トーンの美麗なフレーズが出てきたりするところはかなり惹きつけられます。

特に全編に亘りギターの活躍の幅が広く、Tr.4などで聴けるような、ディストーションからクリーンへの切り替えに凄くセンスを感じます。このTr.4は泣きのソロも素晴らしく、そのソロ中の決めフレーズもカッコいい名曲。アルペジオ・メインの儚い曲Tr.5も、途中から泣きのソロとハードなリフが出てくるなど、ギターの活躍が光ります。高音域だけに頼らず、中音域でも泣かせる技術を持ったギタリストです。

また、フューネラル・ゴシックというほど沈み込むような絶望的暗さは無いですし、メランコリックさも程よく感じられる程度というのもポイントで、初期のゴシック・メタル的な空気を醸し出しつつ、もう少し直接的にメランコリックになったような印象の作品。ゴシック系でありつつも、決して雰囲気モノに終わっていないところも見事で、それを印象づけるのが多彩なリズム・パターンを繰り出すドラム。

同じようなテンポの曲が続いても、ギターに合わせての決めフレーズや、ちょっとした捻りのあるリズム・パターンを聴かせてくれるので飽きさせません。というわけで、ドラマティックで演奏的にも聴き応えのある充実の作品です。